多様なフォーム

日本のコーチはある一つの理想的なフォームだけを指導しがちです.しかし,それは少し非合理な気がします.例えばコンマ差に多くの選手がひしめく僅差の結果となった場合でも,誰一人として同じフォームで滑る選手はいません.つまり同じような結果を出すために,無数の方法,技術があるということです.

しかも近年の目覚ましい道具と技術の進化により,そもそも目指すべき技術のゴールが変化し上昇し続けるのです.それであれば,ある一つの典型的なフォームを決定し追求するよりも,多様なフォームを許容し,「ここまではO.K.だけど,ここからは絶対にダメ」という「禁じ手」を選手に指導するほうが妥当な方法かと思います.ただしこの「禁じ手」指導法には,コーチに非常に高度な技術理解力が必要になると思います.多様なフォームをどこまでを許容し,どこからは禁じ手とするか,それがまさにコーチの腕の見せ所となるわけです.残念ながらそんな高度な技量を持ったコーチは日本国内には比較的少なく,だからこそ一つの理想的なフォームだけを選手に押し付けるような指導が国内に多いのだと思います.

2109/10/19