選手の滑りを的確に見抜く,いわゆる「眼力」はコーチに必須の能力です.ただし,アルペンスキー経験者であれば,眼力はほぼ間違いなく自然に身に付いています.自分の滑りの動画やWCの映像はもとい,チームメイトの滑りというのは,たぶん何千本も自然に見てきています.それだけ見ていれば,自分の直感で感じる滑りの良い悪いはほぼ確実に合っています.
問題は,具体的に技術的にどこが良くてどこが悪いか,これを分析し選手に指導できるかです.これはとても難しいことです.眼力があることは普通のことなので,十分に技術を理解し指導できるかがコーチの本当の技量だと思います.
アルペンスキー経験者でなくても,ずっと選手の滑りを観察し続ければ,眼力は自然と身に付きます.スキー未経験者のある奥様が旦那さんの見ているWC映像を何となく一緒に見ていたら選手の速い遅いがわかるようになり,旦那さんの滑りにダメ出しができるようになったという話をきいたことがあります(笑).つまりアルペンスキー未経験者でもコーチになることは全く問題ないと思います.むしろ重要なのは,的確な技術分析と高い選手コーチング技量だと思うので,アルペンスキーの経験に関係なく,そういう高度なコーチング技量がある方がアルペンスキーの指導者になれば,かえって優秀な選手を育成できるかもしれません.
2019/01/06