エッジ(仕上げ)

エッジを削った後は必ず仕上げをします.これで雪質とのマッチングが全く変わります.違いがわからないという選手も多いのですが,腰高でしっかりとした強い荷重が出来ていれば,必ず違いはわかります.逆に言えば違いがわかるようになるまで技術上達する必要があるということです.

仕上げ作業自体は一瞬で終わります.普段のトレーニングから必ずやったほうがいいと思います.また,エッジ自体は十分たっているときに,翌日の練習バーンの状態に合わせて仕上げだけ変えるのもアマチュアレベルではありだと思います.更に裏技で,アイスバーンなのに十分にエッジを研ぐ時間や道具がない時に,アイスバーン用のダイヤモンド仕上げをするだけで,ある程度グリップを高めることができます.

仕上げ作業はエッジの表面を2回程度,つまり一往復,やや強めにこするだけです.滑走面側のビベリングも行っている場合は必ずビベリング側から先に行います.エッジの立ち方が逆になってしまいます.

押し付ける角度は感覚になってしまいます.角度を強めすぎるとせっかく研いだエッジを丸めてしまいますし,角度が緩すぎると仕上げの効果が十分に得られません.普段のチューンナップから日常的にやって感覚をつかむ必要があると思います.

仕上げは大まかに,新雪はサンドペーパー,アイスバーンはダイヤモンド,人工雪や硫安で固めた雪にはストーン,という3種類に分けられると思います.

新雪仕上げのサンドペーパーは,エッジを研ぐファイルにサンドペーパーをしっかり巻き付けて使います.サンドペーパーの番号は,だいたい400~600くらいです.結構細かいサンドペーパーです.このくらいの細かい傷をエッジの表面につけておくと,不思議と新雪のとがった雪の結晶にエッジが引っ掛かりません.

アイスバーンにはダイヤモンドの仕上げが適しています.ハードなアイスバーンだと,この仕上げをしないとグリップがほとんど得られません.ダイヤモンドファイルにも細目,中目,粗目がありますが,まずは中目だけの準備で十分だと思います.エッジ表面にダイヤモンドファイルで傷をつけることにより,スキーの抜けがやや渋る感じになります.私はこの渋りが結果的にアイスバーンでのグリップを生み出していると思います.ですからアイスバーンではないときにダイヤモンド仕上げをすると板が渋って走らず,かなり遅くなってしまうと思います.

人工雪や硫安で固めた雪にはストーン,砥石仕上げが適しています.これらの雪質はいわゆるアグレッシブな雪質にあたると思います.私なりの解釈では,人工雪はやたら引っかかってきたり,硫安で固めた雪は不自然に凍っていたり,滑っていて雪のほうから何らかのアクションを仕掛けてくる,そういう雪をアグレッシブな雪と言うんではないかと考えています.ストーンで仕上げると当然,滑らかな表面になり,引っかかるような雪質でもエッジがスッと抜けるように良く走ります.逆にひっかからない雪にストーン仕上げをすると,板は良く走りますが,板が勝手に走って行ってしまう感覚でかなり扱いにくいです.

実際にはミックスした条件が多く選択は単純ではありません.例えば人工雪が暖気でいったん解けた後に凍って出来たアイスバーン.例えば,降雪はあったがスタート順が遅く,自分のスタートするころにはかなりしっかりと雪が固められている可能性がある場合.このような場合,自分の滑りの特徴やエッジの好みまで勘案してチョイスする必要があります.しかし,毎日のチューンで翌日の練習条件を考えて仕上げをしっかりやっていれば,ある程度,自分自身の傾向や好みはわかっているので,実際はそこまで迷うことはないと思います.

トップとテールのエッジを落とすチューンは有効なようです.ファイバーテックを使うとあっという間に落ちます.落とし過ぎにくれぐれも注意です.5cm程度ずつくらい少しずつ落とすといいと思います.落とし過ぎたら,当然,研ぎなおさないといけなくなるので.

最後に必ず,立ち方の方向と立っているかどうか,エッジ全体を指で触ってチェックします.仕上げ作業でエッジを丸めてしまっている可能性もあります.立ち方が逆だったり,どちらの方向にも抵抗が無い場合はエッジが立っておらず,厳密にはファイリングからのやり直しになります.ただしアマチュアが毎日のチューンでそこまでやっている余裕はないので,翌日の練習の質には目をつむり,次の晩のチューンで治すのが現実的かなと思います.

2019/01/01