シーズン中のフリースキーには様々な有用な効果があると思います.個人的には,フリーは滑りを「ニュートラルに整える」という効果が重要かなと思います.ゲートトレーニングやレースばかりしていると,実践的な滑りになりすぎて,変な癖が付いたりしがちになると思います.変な癖がついてしまった場合や,そうなる前に,フリーで滑りを整えることが重要かと思います.物理的に非合理な傾きやねじれなどが無いように,とにかく姿勢と動作を絶対にごまかさずに滑ることが重要だと思います.
こういう時,「肩,腰,膝のラインを平行に」とか,「スキーに前後差が無いように」とか,良く言われる注意点がある思います.確かにそれらの注意点は一般論として理にかなっていると思います.ただし,選手は一人一人で体格や技術が異なります.当然,「ニュートラル」な姿勢,動作は選手によって異なります.一般論をそのまま安直に適用するのではなく,自分の滑り,身体,技術と向きあい,自分にとっての「ニュートラル」を探すことが重要だと思います.
「フリーでできないことはポールでできない」という言葉があると思います.確かに,新しく習得に取り組んでいる技術が,ポールはおろかフリーですら出来ないことは,案外多いです.しかし,私は「ポールでしかできないこともある」という言葉を付け加えてみてはどうかと考えています.フリーでポールの滑りを完全に再現するのは困難だと考えているからです.再現できない一番の要因はバーンの締まり,エッジの反応の違いです.ほとんど変わらないようにみえて,ポールバーンはコース整備と何人かの滑走で,雪がしまってエッジがよく噛みます.一方,いくら良く締まったバーンでフリーしても,ポールバーンのような鋭いエッジのリアクションは返ってきづらいと思います.そのため,フリーではできない技術動作がたくさんあると思います.もちろんフリーとポールに共通する技術もありますので,そういう技術であれば,時間的に余裕のあるフリーで自分のタイミングでターンしながら技術習得に努めるのはかなり有効です.ただし,フリーはゲートの技術を全て包括しているわけではないという認識が必要だと思います.
改訂 2019/12/28
2018/10/12