腰高では膝が伸びて脚が棒のようになるので,股関節,骨盤の運動がかなり重要になります.いかに骨盤を柔軟に正確に動かすかが腰高の滑りには極めて重要です.腰高と骨盤を動かす滑りはセットです.
骨盤の動かし方には,大まかに3種類あると思います.骨盤を回すタイプ,骨盤をフォールラインに正対させるタイプ,骨盤を開くタイプ.全てのタイプに共通するのは,ターンが終了して曲がっている内足,次の外足をいかに速く伸ばして軸を作り,腰高の姿勢を作るか.
骨盤を回すタイプは,外足の腰をターン方向に回すことにより膝が伸びる余地を作り,腰高の姿勢を素早く作る方法です.代表的なのはリゲティ選手でしょうか?ターン前半から低い姿勢で素早くカービングを切り込むことができます.腰は回るので外足をうまく踏めないリスクが少しあります.また,ターン前半のスイングするのがやや苦手です.
骨盤をフォールラインに正対させるタイプは,動作が少なく難易度の高いコースに向いており,重心をシンプルにフォールラインに落としていく効率的な滑りになります.ヒルシャーはこのタイプに入ると思います.ただし膝が伸びる余地を上に伸びて作るしかないので,ターンの仕掛けが一瞬遅くなります.または,板をスイングすることによって,膝を伸ばせる余地がある場所までスキーを移動させることも増えます.スイングの多用は減速要因ですので難易度の低い簡単なコースに不向きだと思います.
骨盤を開くタイプは,骨盤を回すタイプとは逆方向に骨盤を回して,すばやく膝を伸ばし腰高姿勢を作る方法です.クリストファーセンがこのタイプだと思います.素早くターンが始動できる上,いわゆる外傾姿勢がとれるので非常に大きな遠心力に対応することができます.ただし,いわゆるスキーの前後差が付きやすく,外足を後方に外して板が踏めなくなるリスクがあります.
それぞれの骨盤タイプにメリットデメリットがあるので,自分の骨格,マインドに適合した腰の動かし方を選べばいいと思います.
2020/04/07