再現力

コーチのアドバイスを実際の滑りに反映させる能力を「再現力」と言うことがあると思います.佐々木明選手は現役時代から,この「再現力」に絶対的な自信があったと著書の中で書いています(※著書では「再現性」と書かれています).高い再現力は,スキー技術のレベルアップに絶大な効果があると思います.

コーチのアドバイスを再現するには,二つの段階をクリアする必要があると思います.一段階目は,単なる言葉に過ぎないコーチのアドバイスを,具体的にどんな動作の事を言っているのか頭の中にイメージすることです.コーチのイメージする動作と自分のイメージする動作を合わせられたら二段階目として,頭の中にイメージした動作を実際に身体で動かせるように反復練習に取り組みます.これが一般的に考えられている技術習得のための練習だと思います.

よくあるのが,コーチと選手のイメージが合わせられておらず,一段階目がクリアできていないのに二段階目に取り組んでしまうことだと思います.一段階目のコーチと選手のイメージが違っているので,ゲートトレーニングを繰り返してもなかなか技術を習得することができず,かなり効率が悪くなると思います.

再現力の高い選手というのは,コーチとのコミュニケーション能力に長け,コーチの性格を良く理解し,このコーチのこういう発言はたぶんこういう動作のことを言ってるんだろうと,的確に予測できると思います.そしてそれを次の一本でいきなり動作として表現することができる高い運動能力を持っていると思います.再現力が高いと技術向上が飛躍的に速まり,スキー技術をレベルアップさせるための強力な武器になると思います.

近年は動画撮影が当たり前となり,夜のミーテングをはじめ,昼休みや,滑った直後にも自分の滑りを確認できるようになりました.動画を活用し,自分のイメージとコーチが求める動作,また,自分がやりたい動作と実際に起こっている動作のギャップをこまめに確認すれば,多くの選手が高い再現力を達成できると思います.

2020/08/22